カメラの露出を決める3つの要素は
「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」。
今回はそのうちの1つ「絞り」を取り上げたいと思います。
動画撮影における「絞り」とは?

当サイトでは「動画撮影」について記事を書いていますので、動画撮影における「絞り」について解説していきます。
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カメラの設定「絞り」について解説
「絞り」とはレンズ内にある複数枚の”絞り羽根”を開いたり閉じたりすることで「光を通す穴の大きさを変化させる機構」のことです。
「絞り」は「F値」という値で表示する
絞りの大きさは「F値」という値で表示され段階的に”任意に変化”させることができます。F2.8⇔F4.0⇔F8.0など。
●F値が小さいほど穴が大きくなる→明るくなる
●F値が大きいほど穴が小さくなる→暗くなる
●F値を小さくすることを「開ける」といい
●F値を大きくすることを「絞る」という
絞りを最大に開ける(F値が一番小さい)値のことを「開放F値」と言います。
*開放F値は箱やレンズに表記されています↓


ズームレンズの場合、開放F値が焦点距離によって変動することがあります。
*ちなみに「Olympus/M.ZUIKO12-200㎜f3.5-6.3」は開放F値がF3.5からF6.3に変動します。

「光量」は「段数」という値で表示する
光の量は「段数」で表示されます。
*光量とF値と段数の関係性はこちら↓
絞り(F値)と段数の早見表 | |||||||||
光量 | 1/16倍 | 1/8倍 | 1/4倍 | 1/2倍 | 0 | 2倍 | 4倍 | 8倍 | 16倍 |
F値 | 16 | 11 | 8 | 5.6 | 4 | 2.8 | 2 | 1.4 | 1 |
段数 | −4段 | −3段 | −2段 | −1段 | 基準 | +1段 | +2段 | +3段 | +4段 |
絞り | ←絞る | 開放→ |
F値がF4.0の時を基準にすると…
●光量を4倍にしたい場合は「絞りを2段分開ける」と言い
●F値をF11にしたい場合は「絞り」を3段分絞ればよい。
「絞り」の効果について解説
「絞り」は「F値」という値で表示され、開けたり絞ったりすることでカメラに取り込む「光の量」を調整することができます。その「光量」を調整することで、様々な”効果”が生まれます。
「絞り」で「被写界深度」が変わる
*被写界深度とは「ピントの合う範囲のこと」です。
●絞りを開ける(F値を小さくする)と被写界深度が浅くなる
→ボケる範囲が広くなる
●絞りを絞ると(F値を大きくする)と被写界深度が深くなる
→ボケる範囲が狭くなる
*つまり絞り(F値)を変えるとボケの具合を調整できるのです。
ボケ具合が調整できるので「絞り」で「パンフォーカス撮影」にするのか「背景ボケ撮影」にするのかを決めることができます。
●絞りを開ける→ピントの合う範囲が狭くなる→狙った被写体の前後が大きくボケる→「背景ボケ撮影」
●絞りを絞る→ピントの合う範囲が広くなる→画角内のすべてにピントが合う→「パンフォーカス撮影」
*絞り(F値)によるボケ具合の2つの画像はこちら↓


「絞り」で「ISO感度」が変わる
まず前提として動画撮影において「シャッタースピード/SS」は基本SS1/60~SS1/100くらいが適切だと言われています。これくらいだと”自然なブレ”が表現できるからです。
SS1/60より遅すぎると”不自然なほどブレる”し、SS1/100より速すぎると”コマ送りのようになる”からです。
*動画撮影におけるシャッタースピード/SSの記事はこちら↓
*シャッタースピード/SSが固定されると露出を決定できるのは「絞り」と「ISO感度」の2つになります。
例えば夜(暗所)での動画撮影において…
●絞り(F値)を開けて「背景ボケ」の動画を撮りたい時
→光量が多くなる→ISO感度はあまり上げなくていい
●絞り(F値)を絞って「パンフォーカス」を撮りたい時
→光量が少なくなる→ISO感度をかなり上げないといけない
つまり日中明るい場合「ISO感度」は考えなくていいんですが、夜の暗い場合は「絞り」によって「ISO感度」の設定が大きく変わってきます。
ISO感度はカメラ機種によって上限があります。上げすぎると”ノイズ発生”など画質に影響が出てくるからです。なので、できればISO感度に頼ることなく「絞り」で光量を稼ぎたいところですね。
*動画撮影において明るいレンズ(開放F値が小さいレンズ)が重宝がられるのは「絞り/F値」で光量を稼ぐことができるからです。
*明るいレンズで動画撮影した2つの映像はこちら↓
①PanasonicLEICA25㎜f1.4ASPH.
F4.0/SS1/60/ISO800でパンフォーカス撮影
②PanasonicLEICA25㎜f1.4ASPH.
F1.4/SS1/60/ISO400で背景ボケ撮影
共に明るい単焦点レンズ(開放F値がF1.4)で”裏なんば”を動画撮影したものです。
*逆に、日中明るすぎる時は【NDフィルタ-】を使いましょう!
【NDフィルタ-】についての記事はこちら↓
「絞り」を絞りすぎる「小絞りボケ」に注意!
「絞り」を絞ると画角内すべてにピントが合うので”パンフォーカス撮影”に向いている。と上述していますが、絞りすぎるのはあまりよろしくないんです。。。
ピントが甘い「小絞りボケ」について解説
絞りすぎると”回析現象による解像度の低下”により「小絞りボケ」を起こしてしまいます。
「小絞りボケ」を起こすと”ピントが甘いシャープさを欠いた映像”になってしまいます。
基本的にレンズはF22まで絞れますが、F22だと確実に小絞りボケを起こしてしまいます。なのでパンフォーカス撮影をする場合は、F8.0~F16くらいがベストだと思います。
ピントが甘い「絞り開放」について解説
絞りすぎる「小絞りボケ」に注意するのと同様に「絞り開放」に関しても注意しなければなりません。
光量/明るさが欲しい場合や、ぼかしたい場合など絞りを”開放”にしがちだが「絞り開放」もまたピントが甘いシャープさの欠いた映像になりがちです。
*絞り開放から「2段分ほど」絞った方が、よりシャープな映像になります。
開放F値がF2.8のレンズなら2段分絞ったF4.0の方がシャープに動画撮影できます。当記事に載せてある【絞り/F値と段数の早見表】をご参照ください。
絞り(F値)の解説まとめ
以上、絞り(F値)について解説してきました。
はじめに記述していますがカメラの露出を決める3つの要素「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の一つです。カメラを理解するうえで「絞り/F値」は基本ですので、ぜひご理解できるまで当記事をお読みいただければと思います。
それでは最後にまとめておきましょう!

「絞り」と合わせて「シャッタースピード」「ISO感度」の記事もぜひご覧くださいニャ♬
●「絞り」はシャッタースピード/ISO感度同様、露出を決める要素の一つ
●「絞り」はF値という値で表示される
●「絞り」が最大の状態を「開放F値」という
●「絞り」を開けると被写界深度が浅くなりボケる範囲が広くなる
●「絞り」を絞ると被写界深度が深くなりボケる範囲が狭くなる
● 夜の動画撮影において「絞り」で明るさを稼ぐべきである
● 絞りすぎるとピントの甘い「小絞りボケ」を起こしてしまう
●「絞り開放」よりも2段分絞るとシャープな映像になる
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