カメラは自由です。
必ずしも「見た目」と同じ明るさで撮る必要はありません。あえて”マイナス補正”をして全体を暗くし「演出」を加えてもいいのです。
意図のある露出アンダーは失敗ではありません。
今回は「露出アンダーで撮る効果」についてお話していきます。

マイナス補正して、あえて「露出アンダー」にすべきシーンもあるんだよね!

あえて暗くするシーンって何だろニャ??
*【プラス補正/露出オーバー】に関する記事はこちら↓
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露出(明るさ)を変えると動画の印象が変わる
上述しましたが、”カメラは自由”であり”表現は自由”です。
自分の思いのまま露出(明るさ)をコントロールして動画撮影してもいいんです。「見た目の明るさ」が正解ではありません。例えば動画素材を編集して「映像作品」として仕上げるなら、思いのまま「演出」しても問題ないんです!
森林を露出補正して印象を変える
春先の森林、見上げて撮った画像を見ていきましょう。
●適正露出(±0)で「見た目通り」の明るさです。

●これをマイナス補正して露出アンダー(−1)で撮ると…

マイナス補正すると全体が暗くなったのと同時に、緑葉の緑が濃くなり「春先」から「初夏」に季節が進んだようなイメージに変わりました。
紅葉をマイナス補正して印象を変える
続いて紅葉の画像です。背景ボケの綺麗な紅葉です。
●適正露出(±0)で「見た目通り」の明るさです。

●これをマイナス補正して露出アンダーで撮ってみると…

マイナス補正し全体的に暗くなりました。適正露出では日が差してまだまだ「暖かい印象」がありますが、露出アンダーにになると「少し肌寒い印象」が出てきました。
*露出を変えると、見てる側に与える印象はずいぶん変わるもんですね!
マイナス補正の効果とは?
上述しましたが、「自分の狙い通りのイメージに露出(明るさ)一つで変えることができる」ことが分かりました。
では、マイナス補正のその他の”効果”について解説していきましょう。
マイナス補正で「光と陰の対比」を出す


まずは雑木林の中、光が差し込んでいる青モミジです。
①は補正前で光の部分は明るく、陰の部分もまだ暗くなりすぎず”目に見える範囲”です。これでもいいんですが、あっさりしすぎてますね…。
②はかなりマイナス補正しました。影だった部分は暗くなり”ほとんど目に見えません”。逆にピントの合った主題の青モミジは”スポットライト”に当てられたように強調されています。
影の部分がより暗くなった分、光と陰の対比が強調されました。
①よりも②の補正後の方が、より印象的な一枚になったと思います。
マイナス補正で「つや感」を出す

まずは大阪オートメッセの展示車を撮影したものです。
赤く輝いた車体はライトが反射して艶が出ています。これも光と陰の対比に近いんですが、軽く陰になっている部分と光の当たっている部分の対比が強調されているので、”つや感”が印象的な一枚ですね。

アジサイ園のガクアジサイを撮影したものです。
元々日陰になっていたガクアジサイ。さらにマイナス補正することで黒の部分が引き締まった感じで、また緑葉の緑の濃さも強調され、葉に”つや感”が出ています。
どうたらマイナス補正してある程度「露出アンダー」にすることで被写体の”質感”が変化するようです。
マイナス補正で「色味」を濃くする


田舎の夕景を撮影したものです。
①の補正前は手前の棚田部分が暗いですが、まだ目に見えます。夕焼けの赤もいい感じで出ているのですが…マイナス補正した②が手前の棚田がほぼ見えなくなり、かなり露出アンダーになっています。
夕焼けの赤の色味はより”濃く”なり、「赤い夕焼け」が印象的な一枚になりました。
マイナス補正すると色味が濃くなるんですね。
マイナス補正で「ディテール」を出す


田舎の風景を撮ったものです。
①は補正前で近景はいい色が出ているんですが、遠景は”露出オーバー”になってて白く霞んでいます。マイナス補正した②は全体的に暗くなりましたが、そのせいで”遠景の詳細”がつぶさに見て取れるようになりました。


分かりやすいように切り取ってみましたが…
②の補正後はやはり遠景の詳細が①に比べ、ハッキリ見て取れます。映っているのはPLの塔なんですが、輪郭がはっきりしました。さらにその奥の山々ですが、その稜線がはっきりしましたね。
やはりアップで見てもマイナス補正すると「ディテール」がハッキリ見えますね。
マイナス補正で「シルエット」を演出

桜に木の下を歩く人影と背景にはきれいな夕景です。
背景の夕景の色合いをきれいに見せたくてマイナス補正していくと、夕景の「色味は濃く」なり近景の桜と人々は黒く「シルエット」の状態になりました。
シルエットは完全に”黒つぶれ”してるんですが、夕景のグラデーションが色乗りよく美しいですね。非常に”インパクト”のある一枚になりました。

こちらは京都の庭園でのワンシーンです。一面に広がる青モミジを鑑賞している、二人の女性のシルエットになります。
かなり天気が良く、撮影時は青モミジがかなり露出オーバーになってしまい、マイナス補正していきました。青モミジがちょうどいい感じの色味になったのと同時に、元々陰になっていた二人の女性の姿は「シルエット」になりました。
主題は青モミジです。あくまで女性は副題。
主題が狙った通りになれば、副題が”黒つぶれ”してもかまいません。この一枚もまた印象的な一枚になったと思います。
*シルエットの動画撮影についての記事はこちら↓
マイナス補正で「重厚感/荘厳」を出す

まずは京都は南禅寺にある赤レンガ造りの水路閣。
赤レンガのレトロな装いは非常に”歴史”を感じます。もっとマイナス補正しても良かったと思いますが、やはりこの手の歴史ある建築物は適正露出よりも「露出アンダー」で撮るのが様になりますね。
「堅い」「重い」「古い」などのキーワードがある被写体は露出アンダー気味に撮ると間違いないでしょうね!

こちらは京都は詩仙堂の庭園です。
青モミジの美しい庭園とそれを鑑賞している女性。屋外と屋内の明るさに開きがあったんですが、やはり主題は青モミジなので青モミジがきれいな緑になるようにマイナス補正していきます。屋内にいる女性の明るさと暗さのグラデーションもいい感じではないですか?
京都はいにしえの街、”歴史ある京都の庭園”はやはり露出アンダーで「荘厳」なイメージにしたいところ。キラキラした庭園と明るい屋内では「荘厳」のイメージとは言えません。
京都の寺社仏閣は「露出アンダー」で撮るべし

「マイナス補正の効果」でも記述しましたが、京都の「寺社仏閣」や「庭園」での動画撮影はマイナス補正して「露出アンダー」で撮るのがベストだと思います。というか”テッパン”です。
私自身、何度となく寺社仏閣に動画撮影に行きましたが、やはり「露出アンダー」で撮ると「荘厳」や「趣き」がイメージングされます。おそらく映像が黒く引き締まるので「落ち着き」や「静寂」を見ている側に印象付けられるんですね。これらのキーワードは私たちが抱く”京都のイメージ”のままですから…
*カメラは自由です。思いのまま「露出」をコントロールして映像作品を「演出」するのは大事なことです。
京都は【詩仙堂の庭園】の動画を見ていただきましょう。
YouTube/Bacochannel【詩仙堂丈山寺】
マイナス補正で動画撮影まとめ
以上「マイナス補正の効果」と「露出アンダーで動画撮影するとどうなるのか?」について解説してきました。
最後に露出アンダーの注意点として…
●やはり「マイナス補正」のやりすぎによる【黒つぶれ】です。
黒つぶれとは「影の部分が暗くなりすぎて、その部分の諧調がなくなり真っ黒になること」です。諧調がなくなると、のちに現像や編集で明るくしようとしても情報が皆無なので明るくなりません。真っ黒のままになってしまいます。
*マイナス補正も限界がありますので、”ヒストグラム”を見ながら撮影することをおすすめします。もちろんシルエットなどの意図のある黒つぶれや、主題の黒つぶれでなければ全然OKですよ!
それでは最後にまとめておきましょう!

露出アンダーで動画撮影すると”いい感じ”に撮れるんだよね。私は一つの被写体に「適正露出」と「露出アンダー」の”2通り”撮ることにしてるんだよ!

保険かけてんだニャ…。
●「見た目の明るさ」が正解ではない
●マイナス補正し意図のある露出アンダーは「演出」となる
●京都の寺社仏閣や庭園は「露出アンダー」で撮るべし
●マイナス補正で「つや感」が出る
●マイナス補正で「光と陰の対比」を演出
●マイナス補正で「色味」を濃くする
●マイナス補正で「ディテール」を出す
●マイナス補正で「シルエット」を演出
●マイナス補正で「重厚感/荘厳」を演出
●主題の「黒つぶれ」には要注意
●主題でなければ「黒つぶれ」はOK
*カメラの基本「露出」に関する記事はこちら↓
*動画向けフルサイズミラーレス一眼はこちら↓
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